Hanging Out with Tibetan Monks 1 of 4

September 9, 2011 § Leave a comment

Posted by Yo

チベット仏教ゲルグ派六大寺院の一つであるクンブン・ゴンパ。東北チベット・アムドに位置し、ダ○イ・ラマ14世の出生地である紅崖村はここからさほど遠くない。ラブラン・ゴンパについて先に書いたが、自分が初めて訪れたチベット仏教寺院はこのクンブン・ゴンパである。

遡ること4ヶ月。2011年5月1日。

「ちゃんと頭を地面につけなさい。」クンブン・ゴンパの大経堂で、地元信者や修行僧に混じって、五体投地を見よう見まねで行っていると隣にいるお坊さんが声を掛けて来た。「こうだ。」と実際にやって見せてくれる。僕は額を地面にきちんとつけていなかったのだ。この五体投地、実際やってみるとかなりキツい。「煩悩の数だけやってやろう」などと意気込んでみたが、普段の不摂生と高度が高いこともあって結局自分の年齢の数だけしか出来なかった。そのお坊さんに、何度やるのか聞くと、自分でも分からないと言う。近くで同じように五体投地を繰り返していた少年僧に聞いても、「数えていない」らしい。回数は特に決まっていないようだが、修行僧は僕の倍以上の速度で数百回と繰り返す。チベットのお坊さんに筋肉質な人が多いのはこの修行の為かもしれない。

僅か31回だが、五体投地をしたらお腹が空いてきた。数日前にウルムチの博物館で購入したシルクロードの写真集を物珍しそうに眺めている件のお坊さん(A師)に、このあたりに食事出来る場所がないか尋ねる。すると「それならウチに来ればいい」と言う。

耳を疑った。知り合ってから5分も経ってない。いや、知り合うどころか、彼にとって僕はちょっと言葉を交わした程度の全くの他人だ。彼には警戒心というものはないのだろうか?むしろこちらの方が警戒してしまうほどに、その申し出は唐突だった。

「じゃあ、行こう。」いぶかしむ自分を尻目にA師は境内の裏の裏へと続く小道を登って行く。数分歩くと、彼の住む僧坊に辿り着いた。観光客の姿はいつの間にか目につかなくなっていた。

僧坊の庭には、もう一人お坊さん(B師)がいた。当然、客が来ることなど全く予期していなかったはずだが、怪訝な表情など微塵も見せず、「こんにちは。いらっしゃい!」と気持ちよく迎えてくれた。

クンブン・ゴンパには約400人の僧侶が住まい、日々修行を重ねている。お寺を囲む様に小さな僧坊がひしめき合っており、各僧坊では数人ずつの僧侶が寝食を共にする。この僧坊にはB師が10年以上住んでおり、空いている部屋にA師ともう一人小僧が寝泊まりしているという。世俗的に言えば3人でハウスシェアをしているというわけだ。

A師は僕を部屋に招き入れると、ツァンパを作ってくれた。飯碗ほどの器に大麦の粉を入れ、バターとお湯を足して、手でこねて丸めるだけのシンプルな食べ物だ。見た目は恐ろしく地味だが、味はきな粉餅に似ており素朴で美味しい。この時は知らなかったが、このツァンパこそチベット人の主食であり、日本人にしてみれば白米にあたる。

A師の部屋に置いてある目新しいものについて色々と質問する。あちらにしてみれば、さぞ鬱陶しい昼食の相手だったろう。

戸棚に置いてある鮮やかな色の布が目に留まる。見事な調和の縞模様。「これすごく綺麗ですね。この辺で買えますか?」と問うと、「この近くには売っていない」という。僕の物欲しそうな顔を見かねたのか「欲しいならあげるよ」と言って手渡してくれた。

それにしても、見ず知らずの異邦人にここまで親切にできるものか。超美味のヨーグルトをデザートに戴きながら、自分はA師の懐の深さに圧倒されていた。

逆の立場で考えてみる。例えば、日本の実家の近くで見ず知らずの外国人に「コノヘンニ、ショクジデキルトコアリマスカ?」と聞かれたとする。「それじゃあ、うちに食べに来て下さい。」などいう心尽くしが自分にできるか?まず無理だろう。何故か?それは「知らない人を家に連れて行く」という行為自体が非常識であり(と、自分で決めつけている)、相手が悪人だったら・・・という猜疑心がどこかにあるからである。

しかし、A師はまるでそうするのが当然かように、僕を自宅に招き御馳走してくれた。慈悲深いA師の清き心と、猜疑心に満ちあふれている我が醜き心。嗚呼、対照的!食事は質素そのものであったが、その暖かいおもてなしにこみ上げてくるものがあった。見知らぬ土地を一人旅しているとき、人の優しさは痛いほど身に染みる。

名残惜しいがあまり長居しても迷惑なので、丁重にお礼を言って失礼することに。隣の部屋のB師にも挨拶しようと様子を伺うと「なんだ、もう帰るのか?もっとゆっくりしていきなさい。聞きたいことがあるんだ。」と言う。

チベットのお坊さんが一日本人観光客である自分に聞きたいことって一体なんだろう?不思議に思いながら、今度は隣のB師の部屋にお呼ばれされることに・・・。

A師から頂戴した布と骨董屋にて購入の仏のレリーフ。

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